2014年11月8日土曜日

『Race Against The Machine』 感想とレビュー


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Race Against The Machine: How the Digital Revolution is Accelerating Innovation, Driving Productivity, and Irreversibly Transforming Employment and the Economy(サブタイトル長!)を読みました。いつか買って放置してしまっていたものを Kindle Voyage 購入をきっかけに再発見して読んだのですが、かなり良かったです。

コンピュータ技術の向上がどれだけ生産性に大きなインパクトを与えているか、という説明と、その結果、機械・テクノロジーが人間の労働機会はどんどん奪われている、という現状について書かれています。

コンピュータ技術は、他のあらゆる産業で使用されているため、その発展の影響力は非常に大きい、ということがよく理解できました。

問題として印象的な点は、現在の労働需要がU字型になってきていて、中間レベルの知識階級の仕事がどんどんコンピュータに取って代わられているという点です。U 字型の上の方はコンピュータによる自動化・ルール化がまだできていない職業、下の方は工場の工員など手作業を伴うような職業なわけですが、自分はまさにその中間層辺りにいる気がするので、危機感を覚えざるを得ません。

社会としての対応策としては、テクノロジーを敵として競うのではなく、テクノロジーを上手く用いて生産性を上げられるようにする、つまり compete against machines ではなく compete with machines ということで、起業(労働機会の創出)方法を含めた教育策の改善を挙げられています。

とりあえず、個人としては、コンピュータが取って代わることのできない領域の知識・経験を身につけ、U字型の労働需要の上を目指すという方向になるのではないかと思いますが、なかなか厳しい道ではあります。

ちなみに、生産性が上がることで「そもそも働かなくてもよくなるのでは?」という考えについては、仕事によってもたらされる、社会に貢献しているという実感は重要であり、「働きたくても働けない状況と、働かないという選択ができる状況は異なる」としてフランクリン・ルーズベルトの以下の言葉を引用されています。
(...) Demoralization caused by vast unemployment is our greatest extravagance. Morally, it is the greatest menace to our social order.
 この辺りは、現在における、退職された方の生きがいについての問題が広がる感じですね。


いろいろ考えさせられる良い本でした。

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