2015年1月2日金曜日

『一九八四年』 感想とレビュー


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新年一冊目は『一九八四年』を読みました。

以前、原著である 1984 を読もうとして 5% くらいで挫折してしまったことがあるのですが、今回読んだ訳書(新訳版)はとても読みやすかったです。そして、その内容は想像していたよりもずっと面白く、不朽の名作と呼ばれるのも納得の作品でした。

絶対的な支配力を誇る「党」に反する思考を持った主人公の物語として、娯楽小説として惹き込まれながら、その中で語られる支配を恒久化させるための社会構造に対する洞察、思考を抑制するために言語を削ぎ落とすという政策の説得力など、著者の凄まじい知性を感じました。自分はその内容の半分も理解できていないのでしょうが、それでも、この本に書かれた考え方に触れることはとても刺激的でした。

2015年が始まってまだ2日目ですが、この年読んだ小説の中で最高の作品になるかもしれない、と思うほどです。それだけの評価を持っていた作品なので当然なのかもしれませんが、それほど衝撃的で充実した読書体験となりました。



少し昔の作品で、これほど面白かった本は『春にして君を離れ』以来です。こちらの作品は人間に対する洞察が非常に優れていると思います。

Windows で Re:VIEW 環境を構築する


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Windows PC 上に、独自の記法に従ったテキストから html、epub、pdf などを作成できる Re:VIEW(GitHub へのリンク) というドキュメント制作環境を構築した際のメモです。


Cygwin と VirtualBox のどちらを使うべきか


Re:VIEW は Mac、Linux をメインターゲットに制作されているので、Windows での環境構築には Cygwin を使うか、VirtualBox 上で Linux 系の OS を動かすかが必要になります。

私は最初は Cygwin を使ってみましたが、pdf への変換を行う環境を整えるところで挫折してしまいました。html や epub を作るところまでは比較的簡単にできたので、そこまででよければ Cygwin で問題ないかとは思いますが、pdf まで作成できる環境を簡単に手に入れられる VirtualBox の方をおすすめします。なのでここでは VirtualBox を使う方法のみ記載します。


VirtualBox + Re:VIEW 環境の構築

  1. ここから VirtualBox X.X.X for Windows をダウンロードしてインストールします。拡張子を関連付けします。
  2. ここで公開されている Re:VIEW のイメージをダウンロードします。
  3. ダウンロードした .ova イメージをダブルクリックするとインポートされます。
  4. インポート後、起動しようとするとエラーで起動できませんでした。私の環境(Windows 8.1 64bit、SSD)では「設定」を以下のように変更したところ起動できるようになりました。
    • 「ネットワーク」でアダプター1の設定をブリッジアダプターに変更する
    • 「ストレージ」の SATA コントローラ -> review-disk1.vmdk で SSD をチェックする
    • 「システム」のプロセッサータブで PAE/NX を有効化をチェックする

イメージ起動から Re:VIEW の実行まで

  1. ユーザ名とパスワードに review と入れてログインします。
  2. Windows の共有ディレクトリ(エクスプローラの左側の「ネットワーク」以下)に REVIEW というフォルダが見えるので、ここにコンパイルするためのファイルを置きます。このフォルダが、イメージ上では work ディレクトリに相当します。
  3. VirtualBox の方で work ディレクトリに移動し、review-pdfmaker sample.yml のように実行したいコマンドを実行します。成功すると pdf が作成されます。
その他、環境のアップデート方法などは、イメージのプロンプトで help コマンドを実行すると確認する事ができます。



これで pdf が作成できるようになりました。
技術的な文章を書くための第0歩 ~読者に伝わる書き方~技術的な文章を書くための1歩、2歩、3歩などを参考に、内輪向きにでも何か書けたらと思います。

2015年1月1日木曜日

『Xerox Xerox Xerox Xerox』 感想とレビュー


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ビル・ゲイツが賞賛し、ここで無料で公開されている、『Business Adventures』の Xerox の章を読んでみました。

以下、内容の簡単なまとめと感想です。


Xerox がコピー機の開発に挑戦し、財政難・技術的課題に苦しみながらも最終的には製品開発に成功して市場を席巻するまでと、その後大企業として行った企業活動などについて、40ページ程でまとめられています。

面白かったのは、著作権侵害の急増、マスターデータから必要に応じて必要なページのみを印刷する図書館が生まれるのではという考え、出版業界における全員が読者であるとともに著者になれる時代の到来への恐怖、などといった、現代のインターネットや電子本などにそのまま当てはめられるような話題があったところです。当時の Xerox のコピー機のインパクトの大きさを示しているような気がしますね。

ちなみに、著作権侵害については、多くのコピー機メーカーが、今まで認められていた手書きによるコピーの発展形にすぎないという立場をとっていたのに対し、Xerox は無断コピーは禁止するべきという立場を取っていたそうです。Xerox が、出版や教育関係の企業を買収していたことも無関係ではないと思いますが、そもそもそういう企業を買収していて、コピー機が売れれば良い、という思想に囚われていないということが他の企業と異なる点なのかもしれません。

また、Xerox が、急激な発展を遂げた後、利益の多くの教育や慈善活動に寄付していた、という点も興味深いです。国連の報道活動への出資には多くの反対意見(アメリカでは国連に対して不信感を持っている方々もおり、ある企業が反対活動を扇動していました)が、結局は正しい判断だった、と振り返られています。

最後に、その辺りについての当事者のコメントを一部引用。
The corporation cannot refuse to take a stand on public issues of major concern.
 (...) world coöperation is our business, because without it there might be no world and there fore no business.
You can’t just be bland, or you throw away your influence. But you can’t take a stand on every major issue, either. 


可能性を信じ苦境に耐えて成功した一方で、成功の要因については偶然が大きい(セレニウムの使用がキーとなったが、セレニウムが良いとわかったのは実験的な成果で理論的な背景があるわけではない)、という、成功のための必要条件(十分条件ではない)と成功後の理想的な姿勢を示した一章なのでないかと思います。

無料なので、興味があれば読んでみるとよいでしょう。

2015年の目標


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あけましておめでとうございます。

昨日、去年を振り返って軽く絶望したので、今年は同じ過ちを犯さぬよう頑張りたい、という思いを込めて目標を並べ立てて公開しておくことにました。一ヶ月ごとに、達成度と反省の記事を書こうかなと思います。


読書

  • プログラミング・コンピュータ系:1冊以上/月、15冊以上/年
  • その他読み物:1冊以上/月、15冊以上/年
  • 小説:1.5冊以上/月、20冊以上/年
  • (洋書:8冊以上/年)
※ 洋書を読んだ場合、他の項目と重複している場合は両方カウントします。

去年はプログラミング・コンピュータ系の読書量がかなり少なかったので、意識的に手を出していきたいところです。そういう系の本は会社でも借りられますが、お金でモチベーションを買うという意味でも、自費でいろいろ買おうと思います。

小説も、去年は読むときは読む、読まない時は読まないと波が激しかったので、コンスタントに月1冊くらいは読んで頭をリフレッシュさせたいですね。


英語

  • 英検1級2次試験の設問等を題材にライティング: 2回/月
  • 気になった日本語の記事・本の一節の英訳:1回/週
  • NHKラジオ 実践ビジネス英語:15分×3 / 週を 1年継続
  • umano:20分 × 3 / 週を 1年継続
  • (洋書:8冊以上/年)
大学卒業後、洋書を読んだり英語でニュースを聞いたりはするものの「ある程度のレベルに達しているのでそんなに不便はない」という感覚から英語を勉強するという意識は持っていませんでした。
今年は、仕事で使うことの多いライティングとリスニングを意識的に鍛錬して、レベルアップしたいと思います。


運動

  • 筋トレ:3回 / 週
  • ジャグリング:30分 × 3 / 週
結果としての目標は、秋頃の健康診断で引っかからない、体重 + 3kg で体脂肪率を維持、といったところです。ランニングも目標に入れておこうかと思いましたが、寒いのも寒いのも苦手で続かないことが目に見えているので止めておきました。これならやれる、という2つだけを入れて、これらをしっかり続けたいと思います。


プログラミング

  • 新言語・環境を1つ以上覚えて何かを作成する
  • Android で新規アプリを2つ以上作る
  • Web系で何か2つ以上作る
「何かを作る」系の目標は、達成できるかどうかが、ネタが思いつくかつかないかに依存するので扱いが難しいと思うのですが、かといって「ネタがないから何も作らない」では技術面のスキルも鈍ってしまうのでそうも言っていられません(去年はずっとそんな感じでした…)。普段使っているアプリ・サービスの劣化コピーでも良いので、手を動す年にしたいと思います。

ネタ候補メモ

言語・環境:Go, Dart, Polymer、TypeScript、Google App Engine、Amazon Web Service、Docker
アプリ:ニュースリーダー、後で読む、TODOリスト、英作文練習、タイマー・ストップウォッチ、小遣い帳


娯楽作品

  • 漫画:5冊/月、80冊/年
  • ゲーム:6本/年
  • アニメ:6作品/年
  • ガジェット系アイテムの購入:5つ/年
  • (小説:1.5冊以上/月、20冊以上/年)
定期的に新しいものに触れて頭をリフレッシュする、食わず嫌いをしない、とりあえず試してみる精神を持つ、という意味で娯楽系にも最低ラインの目標を引いてみました。

ただし、ゲーム・アニメに関しては、これは合わない、と思ったらその時点で放り出し、放り出したものもカウントに含める、というゆるい縛りにしておこうと思います。


その他

  • 電子本を書いてみる(公開はしない)
  • 生活必需品以外の出費について記録をつけ、年末に振り替えれるようにする
  • Unity でミニゲームを作る:どこかの月に集中して4本/月を一回くらい
  • イラスト(概念図を補足できる程度)の練習
  • GIMP, Blender の基本的な使い方の習得
この辺りは優先度低めで、あまり定まった目標でもないのですが、他の目標に取り掛かる気がしない、という時のために書いておきます。



仕事が始まったら「何を考えていたんだ」となりそうですが、一方で、今手がけている仕事の内容や、今後のこと、年齢などを冷静に考えると、これくらいやっておかないと立場が危ういだろう、という思いもあります。

現実(仕事)に合わせて目標を変えるのではなく、目標を達成するために目の前の仕事を調整する方向で進めたいですね。頑張るぞー。