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2015年3月15日日曜日

『ニコニコ哲学』 感想とレビュー


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ニコニコ哲学-川上量生の胸のうち を読み終わりました。

ニコニコの在り方や、オープンな市場の問題、採用について、など、様々な内容について語られており、どれも面白かったです。インタビュー形式で読みやすく、短めなのもよいです。

以下、特に興味を引いた考えの一部。



IT業界も成熟して、うまいことやるのは難しくなった。そうなると、むしろ誰もやらない大変なことにビジネスチャンスがある可能性が高くなった。徒労に終わらないような大変なことを探す。これが、たぶんIT業界の次のステージの課題。

オープンになりクリエイターが増えるほど、人気がでるもの、売れるものの多様性は減る。みんな等しく成功のチャンスもクリエイターとしての価値も減る。

コンテンツ市場が成熟すると、コンテンツの中身よりもブランドが評価される。

才能=希少性。能力のレベルが高くても、競争相手がたくさんいる業界で認められるのは大変で、1位と2位の差は小さくなる。希少性の高さと能力の高さは違う。

一人ひとりが「お山の大将」になれる世界の方が幸せ。それを許さず「全国的に見ればお前はこの程度」と突き付けるのがインターネット。お山(小さいコミュニティ)をどう作るかが次のネットのテーマ。

「これに賭ける」という思いで思考を停止するのは間違い。必要なのは勇気ではなく計算。

通年採用ではスキルのない人は就職できない。将来のポテンシャルなんて考慮されない。新卒採用で「強者」側の高学歴組の中で、通年採用でも「強者」でいられる人はほんの僅かであり、新卒採用の「弱者」も通年採用になればどうなるということはない。

オタクは「敵に回すとおそろしいが、見方にすると頼りない」

「夢」とは長い間満たされない欲求のこと。持っているから偉いということはない。

オタクの特徴は自分が正しいと思っていること。コミュニケーション能力が低くて、社会では居場所がないから、自分で自分を褒めるしか無い。

個性は非論理的な部分にしか残らない。論理を突き詰めていくと同じ帰結に達する。

2015年2月25日水曜日

『エッセンシャル思考』 感想とレビュー


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最近自分の周りで話題になっていた『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』という本を読みました。納得できる指針、わかりやすい具体例、明確なアドバイスと三拍子揃っており、かつ訳書にありがちな不自然な文体もなかったので、とても良い本だったと思います。いろいろな事に中途半端に手を出しがちな自分にとって、目標・行動の見直しのきっかけと指針になりました。

内容の紹介と、後で読み直す際の参考を兼ねて Part 毎に、簡単に内容をまとめます。


Part 1. エッセンシャル思考とは


原著は『Essentialism: The Disciplined Pursuit of Less』というタイトルで「Essentialism」は「本質主義」(Wikipedia)と訳されますが、ここでは、"自分の本質とはなにか、自分が大事にしているものは何かを見定めて、やる事とやらない事を自分の意志で取捨選択していく思考"のようにまとめられるのではないかと思います。重要なのは自分の意志で選ぶこと、また、取るだけでなく捨てる事も必要になることです。

「やらなくては」という思い込みを捨て、「どれも大事」という幻想を捨て、「全部できる」という自惚れを捨てることで、初めて重要なことに集中できるようになる、と説いています。
「教えてください、あなたは何をするのですが/その激しくかけがえのない一度きりの人生で」 メアリー・オリバー


Part 2. 見極める技術


当然取捨選択を行うにあたっては何を選ぶか、どのように選ぶのかが問題となります。Part 2. では以下の5つの章で、正しい選択を見極めるためのコツと条件を挙げています。
  • 孤独:どんなに忙しくとも、考えるための時間と環境を確保する
  • 洞察:情報の量や声の大きな意見に惑わされず、大局を見る
  • 遊び:創造性と探究心を忘れずに、何が楽しかったか、楽しいかに意識を向ける
  • 睡眠:洞察力、発想力を発揮し効率よく成果を挙げるためによく眠る
  • 選抜:明確で正しく、厳しい基準を採用し、悪くない、程度の選択肢は全て却下する


Part 3. 捨てる技術


Part 3. では捨てる技術として、本当に重要なものを選ぶために、不要な物事を「捨てる」技術を紹介しています。Part 2 の「見極める」技術と近いものがありますが、より具体的な方法論となっています。
  • 目標:「かなり明確」では不十分、魅力的でかつ測定可能な「完全に明確」なものにする
  • 拒否:断り方を覚えて勇気を持って上手に断る
  • キャンセル:「授かり効果」(自分の持ち物を高く評価する心理バイアス)を回避するため、途中まで進めていたプロジェクトや既に持っているものに対して判断を下す場合は「まだ持っていないとしたらどれくらいのコストをかけて手に入れようとするか」を考える
  • 編集:削除、凝縮、修正を日々繰り返し、自分の生き方から不要なものや余分なものを削って本質を維持する
  • 線引:譲れないラインを引き、自分の領域を確保する、また、他人の領域に手を出さない


Part 4. 仕組み化


Part 4 では Part 2, 3 で解説した考え方や方針を維持するための心構えを説きつつ、エッセンシャル思考のメリットについてまとめています。
  • バッファ:最悪の事態を想定して準備と計画を徹底的に行う
  • 削減:成果を産まない努力をやめ、目指すことを明確にしてそのボトルネックを取り除く
  • 前進:日々の進歩を大切にし、地味に着実に勝ち続ける
  • 習慣:重要なことをやることが普通の状態、となるよう、ひとつずつ良い習慣を身につける
  • 集中:過去や未来にとらわれず、今重要なことにひとつずつ集中する
  • 未来:エッセンシャル思考を体に染み込ませることは後悔なく生きることに繋がる
最終章「エッセンシャル思考のリーダーシップ」でチームとしてのエッセンシャル思考について触れていますが、ここでは割愛します。



2015年の目標を立ててから約 2ヶ月が経過し、調度良い見直しの時期なので、この本を参考にしつつもっと絞った目標に修正して、より実りのある1年を過ごせればと思います。

2015年1月2日金曜日

『一九八四年』 感想とレビュー


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新年一冊目は『一九八四年』を読みました。

以前、原著である 1984 を読もうとして 5% くらいで挫折してしまったことがあるのですが、今回読んだ訳書(新訳版)はとても読みやすかったです。そして、その内容は想像していたよりもずっと面白く、不朽の名作と呼ばれるのも納得の作品でした。

絶対的な支配力を誇る「党」に反する思考を持った主人公の物語として、娯楽小説として惹き込まれながら、その中で語られる支配を恒久化させるための社会構造に対する洞察、思考を抑制するために言語を削ぎ落とすという政策の説得力など、著者の凄まじい知性を感じました。自分はその内容の半分も理解できていないのでしょうが、それでも、この本に書かれた考え方に触れることはとても刺激的でした。

2015年が始まってまだ2日目ですが、この年読んだ小説の中で最高の作品になるかもしれない、と思うほどです。それだけの評価を持っていた作品なので当然なのかもしれませんが、それほど衝撃的で充実した読書体験となりました。



少し昔の作品で、これほど面白かった本は『春にして君を離れ』以来です。こちらの作品は人間に対する洞察が非常に優れていると思います。

2014年12月20日土曜日

『賭けの考え方』 と感想とレビュー


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オススメという話を聞いて『賭けの考え方』という本を読んでみました。

「どんなに技術を高めても、結果の多くが運に支配されるゲーム」という事がイメージしやすいポーカーが題材であることで、

  • 長期的な視野で考え、時に短期的なリスクは受け入れる
  • 結果よりも正しい判断ができたかを優先する
  • 合理的な決断のために自尊心、感情は排除する
  • 分析・改善を継続し学び続ける
  • 達成し得る、正しい目標を設定する
    • 結果を達成できるかどうかをコントロールする力は限られている
という、そのまま普通の社会人人生にも当てはめられることを納得しやすい形で学べる本でした。

一般論として重要な事の多くが 2章、3章、10章の後半にまとまっているので、その辺りを繰り返し読み返すと良さそうです。

ポーカーの専門用語が説明なしにバンバン出てきて、調べながら読み進める必要がありましたが、それはそれで新しい言葉を知ることができてなかなか面白かったです(使う機会はないでしょうが)。

そろそろ2014年も終わるので、この本で学んだ事を参考にしながら 2015年の目標でも考えようと思います。

2014年12月14日日曜日

『夜の国のクーパー』 感想とレビュー


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夜の国のクーパー読了。『ガソリン生活』は車が語り手でしたが、こちらは主な語り手が猫。御伽話風という点で『オーデュボンの祈り』に近い印象を受けました。軽妙な台詞回しは控えめで、真面目な小説という感じです。

キーワードは「帰る」、「方針の変換」、「戦争」、「話し合い」、「上の立場と下の立場(猫と鼠、国と国)」、「やりたくないことは他人にさせる」など。

どちらかと言えばもう少し明るい雰囲気の小説の方が好きですが、これはこれで面白く読めました。猫達の動作の描写も臨場感(?)とかわいげがあって楽しかったです。

2014年12月11日木曜日

『ガソリン生活』 感想とレビュー


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ガソリン生活』読了。メインの語り手が車という異色な作品でしたが、荒唐無稽でほんわかした感じが良いですね。系統としては『陽気なギャング』シリーズを近い雰囲気を感じました。単純だけど人のよい兄、年不相応に頭の立つ弟、一家を支える母親、隣に住む校長先生など登場人物、家族が乗る緑のデミオ、校長先生のカローラなどの車といった、主要なキャラクターに裏がなく気楽に読めて好きです。

2014年11月23日日曜日

『Being Mortal』 感想とレビュー


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Being Mortal: Medicine and What Matters in the End』を読みました。
"Old age is continuous series of losses."
この一文の引用だけで若干憂鬱になりますが、いつかは死ぬ、immortal(不死)ではない人間として、どうやって最後の時を生きて、どうやって死を迎えようか、というちょっと重い本です。

医療施設の話、筆者が関わった患者の話、筆者自身の父親の話などを通して、自分の親だったら、自分自身だったら、といろいろなことを考えさせられました。

まだまだ考えはまとまりませんが、読んでみて良かったです。
あまり上手くまとめられる気がしないので、内容については特に気に留めている点に触れるだけにとどめておきます。本では、他にも、緩和医療、医療コスト、コミュニティなどいろいろな話題に触れています。

安全と長生きが最優先事項か


病院や施設は、お年寄りの安全(と組織としての効率)を第一に考えた運営がなされているが、それが当人達にとって最善なのか、プライバシーも生きる目的も奪われた状態で管理されて長生きすることが幸せなのか、という問題提起。
"It just isn't home"

At home, you decide how you spend your time, how you share your space, and how you manage your possessions. Away from home, you don't.

治療とリスク、トレードオフ


医療技術は大きく発展したが、それでも治療できない、もしくは治療できる可能性が低い病気はある。また、治療行為にはリスクや副作用も存在する。難しいことではあるが、自分(もしくは家族)が何を大事に思うかと照らしあわせて、どのような可能性のために、どのようなリスクなら受け入れられるか、を考える必要がある、という問いかけ。
What are your fears and what are your hopes? What are the trade-offs you are willing to make and not willing to make?

2014年11月15日土曜日

『ZERO to ONE』 感想とレビュー


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ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』読了しました。

自分なりに本書の主張を箇条書きでまとめると、以下の項目になります。
  • 「リーン」に代表されるような、ユーザの声を聞いて少しずつ改善していくという手法では真に革新的なことはできない。自分なりのビジョンと計画を持って大きく賭けろ
    • 例えば Apple の製品はジョブズのビジョンの結晶である。
  • 競争下では最終的に全体の収益が消失する。他ができないことを行う、という意味での独占は善である
    • 独占しているかしていないか、独自性はあるか、ということを見極める上で、競争範囲の定義は重要である。範囲を狭く定義して独占を主張しても意味が無い。
  • 販売・売り込みは必要。方法には考えが必要。
    • 「あの会社はそんなことせずに成功したじゃないか」と思うのであれば、優れた売り込みに気づいていない。
  • 良い未来は創れるという希望を持ち、自分の頭で考えよう

この辺りの主張については、本書を読み進める中で、十分な説明やエピソードが紹介されており、なるほどと思え納得はしており、それは興味深く読めたのですが、「さてではどうするか」、というのが難しいですね。結局のところ「新しいことを自分の頭で考えよう」の一言に尽きる気はしています。

一人の会社員、社会人としての行動指針に落としこむと

  • 「こうして欲しい」という要望を待たずに「こうすれば良いのは」と提案できるように考える
  • 既存のプロセスを鵜呑みにせず、本質的な問題をより効率よく解決するために他の方法がないか考える
  • (独占的な)強みとなる技術を身につける

といったところでしょうか(なんだかとてもスケールが小さな話になってしまいましたが…)。

Amazon.com、Amazon.co.jp でもランキング上位にあり、結構なレビューの数が付いていることを見ると、起業家(もしくは起業家を目指している人)以外にも多くの人がこの本を読んだのだと思うのですが、そういう人がどのようにこの本を消化して、どのように行動を変えようと思ったのか、という考えを聞いてみたいものです。

また、この本を読んで、以前読んだ『コピーキャット―模倣者こそがイノベーションを起こす』を再読したくなりました。こちらの本はこちらの本で、納得できる内容であり、とても面白かった覚えがあります。


おまけメモ。Amazon で「序文いらない」というレビュー投稿を見たのですが、それにはちょっと同意しました。冒頭で、あなたの書籍の推薦依頼を受けるかどうかのポリシーを語られてもね、という。それ以外の内容は普通で特に気にならないのですが。関係のないこと(特に見方によっては自慢のように思えること)を書くと余計な印象を持たれてしまうかも、という戒めにメモしておきます。

『幻惑の死と使途』 感想 : 「名前」のための殺人の話


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幻惑の死と使途』読了。Kindle Voyage を買ったついでに、何か読むものを、と思って買った小説でした。森博嗣作品は『すべてがFになる』と『冷たい密室と博士たち』しか読んでませんが、この3つの中では一番良かったです。手品とか好きですし、トリック・動機も納得のいく方でした。

それから、全体的な「名前」というテーマと、犀川教授の
人はアウトプットするときだけ、個たる「人」であり、それ以外は、「人々」でしかない
という言葉がとても印象的でした。

心に残る一言が一つでもあると、単純な娯楽としての読書以上にその小説は読んでよかった、と思えるので、この本もまた読んでよかったです。

2014年11月8日土曜日

『Race Against The Machine』 感想とレビュー


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Race Against The Machine: How the Digital Revolution is Accelerating Innovation, Driving Productivity, and Irreversibly Transforming Employment and the Economy(サブタイトル長!)を読みました。いつか買って放置してしまっていたものを Kindle Voyage 購入をきっかけに再発見して読んだのですが、かなり良かったです。

コンピュータ技術の向上がどれだけ生産性に大きなインパクトを与えているか、という説明と、その結果、機械・テクノロジーが人間の労働機会はどんどん奪われている、という現状について書かれています。

コンピュータ技術は、他のあらゆる産業で使用されているため、その発展の影響力は非常に大きい、ということがよく理解できました。

問題として印象的な点は、現在の労働需要がU字型になってきていて、中間レベルの知識階級の仕事がどんどんコンピュータに取って代わられているという点です。U 字型の上の方はコンピュータによる自動化・ルール化がまだできていない職業、下の方は工場の工員など手作業を伴うような職業なわけですが、自分はまさにその中間層辺りにいる気がするので、危機感を覚えざるを得ません。

社会としての対応策としては、テクノロジーを敵として競うのではなく、テクノロジーを上手く用いて生産性を上げられるようにする、つまり compete against machines ではなく compete with machines ということで、起業(労働機会の創出)方法を含めた教育策の改善を挙げられています。

とりあえず、個人としては、コンピュータが取って代わることのできない領域の知識・経験を身につけ、U字型の労働需要の上を目指すという方向になるのではないかと思いますが、なかなか厳しい道ではあります。

ちなみに、生産性が上がることで「そもそも働かなくてもよくなるのでは?」という考えについては、仕事によってもたらされる、社会に貢献しているという実感は重要であり、「働きたくても働けない状況と、働かないという選択ができる状況は異なる」としてフランクリン・ルーズベルトの以下の言葉を引用されています。
(...) Demoralization caused by vast unemployment is our greatest extravagance. Morally, it is the greatest menace to our social order.
 この辺りは、現在における、退職された方の生きがいについての問題が広がる感じですね。


いろいろ考えさせられる良い本でした。

2014年11月5日水曜日

Kindle Voyage 購入レビュー : ページめくりボタン!


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Kindle 3 から始まり新型が出るたびに Kindle を買い続け、Voyage で 5台目になりました(3, PW 2012 Wifi, PW 2012 3G, PW 2013 3G, Voyage)。

スペック的な説明は Engadget : アマゾン Kindle Voyage 正式発表、高解像度で歴代最薄・最軽量の高級モデル や Gizmode : Kindle Voyage、スクリーンの違いはさすがに歴然 のようなガジェット系ニュースサイトを見るのがベストだとして、結局どう感じたの?という個人の感想をつらつら書こうと思います。

ちなみに今回購入したのは Wi-Fi + キャンペーン情報つきモデルです。


Kindle PW (2013)とスペック的な差は感じる? → 意外に軽さはすぐ感じた。ページめくり速度はあまり。


大きさ、重さはカタログスペック的なもので、実感することはないかと思っていましたが、以外にも持った瞬間「お、ちょっと軽い」と思いました。右手で、ディスプレイ側からみて右下1/4で全体を支えるような持ち方をしているので、少し全体がコンパクトになったことも影響してるのかもしれません。これは嬉しい誤算です。

一方、普通の文字ベースの本においてはページめくり速度の違いはあまり感じませんでした。 PW と Voyage を横に並べて試してみても、ほとんど違いはわかりません。ただ、後述するページめくりボタンのお陰で「ページをめくる」という行動全体で見た場合はスムーズです。あと漫画の場合は速度差を感じました。


ページめくりボタンはどう?→ 最高!


ページをめくるたびに指を動かさずに済む、というのはやはりいいです。 3以来。設定で感度を選べて、3のハードウェアボタンよりも軽い力で動かせます。慣れるまで、押したつもりが反応しないということが何度かありましたが、5分くらい弄っているうちに意図通りに動かせるようになりました。

デフォルトで、ページめくりボタン反応時に Kindle が微妙に振動する設定になっているのですがこれはオフに。特にフィードバックがなくても困らないくらいにきちんと動いてくれます。

戻る方のめくりボタンはちょっと上の方にあって自分の手ではすこしずらさないと届かないので、戻るときは画面スワイプの方を使ってます。


自動明るさ調整はどう?→ とりあえず違和感なし。


あまり明るさが変化する環境で読むわけではないのでなんとも言いがたいですが、とりあえず自動設定にしたところ、良い感じに調整されたのでそのまま自動設定を使っています。


漫画は読める? → 読める。解像度の向上とページめくりの速度アップを感じる。


かなり実用的なレベルです。そこそこのスペックのタブレット以上の快適さだと思います。
こうなるとネックになるのは容量(4GB)ですね。多数の漫画コレクションを突っ込むには心もとない容量です。メインの漫画リーダーはタブレットを使いつつ、Kindle には新しい or お気に入りの漫画を数十冊入れておいて不要になったら消す、みたいな使い方をしようと思います。


キャンペーン情報はどう感じる? → 起動中は気にならない。待ち受け時と待ち受け復帰時に少し邪魔。


今回はじめてキャンペーン付きのモデルを買ったのですが、起動中はほとんど邪魔には感じませんでした。リスト表示にしてるんですが下1/10 くらいに広告バーが出ているだけで、しかもコレクションの中に入った時点でその表示も消えると。

ただ、待ち受けがダサくなるのがいただけないですね。さらに待ち受け復帰時に電源ボタンを押した後スワイプ操作が必要になるのもちょっと嫌です(キャンペーンなし版は電源ボタンを押すだけでよい)。Voyage のせっかくのプレミアム感が損なわれますね。差額分のお金を払って消せるなら消したいなー、という感じです。まぁ慣れたら気にならなくなるのかもしれません。実際に害があるというよりは、精神的なものですね。




とりあえず届いてみて数時間触ってみた感触はこんなところ。
「ページめくりボタン」+「小型軽量化」は期待以上で、良い買い物ができました。

よろしければオーナーライブラリー おすすめ本まとめ(洋書含む)+検索方法 と
Kindle 洋書オススメまとめ(とりあえず10冊)もどうぞ。

2014年11月3日月曜日

『アイネクライネナハトムジーク』 感想


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今日は移動時間があったので アイネクライネナハトムジーク を購入して読みました。

伊坂幸太郎の、この手の時間軸と登場人物が不規則に入り組んで短編が繋がるタイプの小説、たびたび「誰だっけ?」となって読んでて疲れました。Kindle だとパラパラっと前に戻って確認するのも面倒ですし、今回は特に登場人物が多くて。。。

あとがきに
僕の書く本にしては珍しく、泥棒や強盗、殺し屋や超能力、恐ろしい犯人、特徴的な人物や奇妙な設定、そういったものがほとんど出てこない本になりました。ですから、普段の僕の本に抵抗がある人にも楽しんでもらいやすくなったのでは、そうであってほしい、と期待しています。
とあったのですが、僕はどちらかといえばそういう本(『陽気なギャング』とか『マリアビートル』とか)は大好きなので、今回の本はちょっと物足りない感じも。

まぁ「伊坂作品に期待していたものとは少し違った」というだけで、つまらなかった、読むのをやめようかと思った、というわけではないです。良い時間の使い方ができました。移動中は新しい本を読むのが一番ですね。

2014年11月1日土曜日

『LIFE PACKING』感想とレビュー : 何を大切にするかを考えるきっかけに


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2014年11月の Kindle オーナーライブラリでは LIFE PACKING 未来を生きるためのモノと知恵 を無料で読みました。

写真が主体で文章は少なめ、パラパラめくる感じで軽く読了です。普段はこの手の本を手に取ることはあまりないので良い刺激になりました。

紹介されているもの自体は、著者の職業柄からかガジェット類、高級路線の音楽系の機材、調理器具がそこそこの数あったりと「自分もこの人の真似をして断捨離しよう」という参考にはあまりならないでしょう。というかならなかったです。

でも、そういう個性が出る製品を、ある個人の「必需品」として、想いとともに紹介していることにこの本の面白さがあると思います。

アンケート・多数決で決めたような必需品のリストを紹介されても多分つまらないですよね。

「こんなものあるんだ、これはいいかも」とか「これは自分にはいらないなー」などと思いながら読み終わった後に、さて自分の必需品はなんだろう?と考えを巡らせる気にさせてくれる『個』の出方がいい感じです。

自分も近いうちに必需品リストみたいなものを作りたいですね。きっと、自分の価値観の整理にも役に立つんじゃないかと思います。


その他 Kindle オーナーライブラリおすすめリスト はこちらにまとめていますので、よろしければ参考にどうぞ。

2014年10月25日土曜日

『Big Little Lies』 感想


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久々に洋書の小説を読みました。Big Little Lies。サンプルを Kindle に送ろうとしたら間違って購入をしてしまったのですが、せっかくなのでと読み進めて、そのまま読了。最近の洋書小説の安さを考えると少し高い買い物だった気がしますが、とりあえず楽しめたので何よりでした。

3人の、子供を持つ女性を主人公に、家庭内暴力、離婚と再婚、子育て、シングルマザーなどの話題に触れながら、Trivia Night というイベントで起こる事件に向けて物語が進みます。

構成が面白かったですね。章の間などに挟まる登場人物の会話から、Trivia Night というイベントで何らかの悲劇が起こることが初めの方でわかるのですが具体的に何が起こったかはそこではわかりません。そして物語の章立てが 「Trivia Night の何ヶ月前」 という形で進んでいくので、どんな悲劇が起こるんだろう?と想像しながらカウントダウンを進めるような感覚でした。

実際に起こった事件は、悲劇ではあるものの、良くも悪くも妥当な感じで刺激は少なかったのですが、そこに至るまでの、人間関係や心理描写を楽しました。

英語的にも、よくわからない言い回しは少なく読みやすかったです。

同じ作者の本をまた読みたいかと尋ねられれば、「面白かったけど、作者買いするほどではないかな」、というライン。ひとまず次の作家を探そうと思いますが、機会があれば買うかもしれませんね。

2014年9月11日木曜日

『桜井政博のゲームについて思うこと 2』 感想とレビュー


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桜井政博のゲームについて思うこと 2 を読みました。このシリーズ全て Kindle 化されていたんですね。文字サイズが変更できないタイプなので Kindle だと若干読みにくく、Nexus 7 のような 7 インチタブレットくらいが調度良い感じです。

いろいろな話題があって面白かったのですが、ここではゲーム関係の企業に勤めている端くれとして、心に留めておきたいお言葉を引用してメモしておきます。
ゲームに限らずほぼすべての創作物は、根本的には制作者のエゴイズム(自己本位、利己主義)で作られるものだとわたしは思います。(…)でも冷静に見渡してみると、エゴよりももっと優先すべきものがあることに気がつくのです。(…)お客さんに届くものであれば、まして代金をいただくものであれば、作品であるまえに商品であることは無視できません。メーカー名が冠としてつけばなおのこと。だからこそ、「自分の好みの仕事ができない」と狭い視野で嘆くより、みずからが選んだ職種に携われること自体を感謝するべきだろうと思います。
ゲームが好きで今の会社を選んだこと、ゲームに関わる環境に居られることへの感謝を忘れないようにしたいものです。
ゲームの最後にスタッフロールを載せるワケ。わたしにとっては、それはお約束を守るわけでも名前を載せたいだけでもなく、手がけた作品に対しての責任表示だという意図があります。売りたいのはゲームそのものであって、自分の名前ではないのですから。
この責任感が、『スマブラ』のような、恐ろしい量の調整・デバッグを必要としそうなタイトルの完成度の高さを可能にしているのかもしれません。私は外に名前が出るような仕事はしていませんが、名前を載せても恥ずかしくないような仕事ができるよう頑張りたいですね。



スマブラ for 3DS 体験版、面白いです。製品版が待ち遠しい。

2014年9月7日日曜日

『ゲームとゲーミフィケーションのあいだで』 感想とレビュー


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ゲームとゲーミフィケーションのあいだで 〈人間と情報〉の関係はいかに更新されてきたか (PLANETS ほぼ惑コレクション for Kindle)
Kindle オーナーライブラリ対象だったので、今月はこれを借りて読んでみました。
ページ数はとても短く、丁寧に読んでも30分程度で読める文量ですが、内容は濃く多岐にわたっていて、借りてよかったと思います。

テーマは『情報技術の発展による「人間」像の更新』ということで、ソーシャルゲーム、エンターテイメント、メディアなど、色々な話題についてケームクリエーター水口哲也さんと、ゲーム研究者井上明人さんが語られています。

引用とメモ。
コンピュータゲームで、主に快楽のため、夢の実現のために追求してきた様々なテクニックや手法は、いま、情報技術の発展で社会構造の中に実装されつつあり、ゲーミフィケーションという名で呼ばれています。
この本におけるゲーミフィケーションの定義。
人間のローカルなコミュニケーションをインターネットが可視化して、それをこれまでよりも深いレベルで、それも大規模にゲーム化することが可能になったとき、ほんとうに何でもない、ほとんど中身のないやりとりをダラダラ続けているだけでなんとなく承認欲求も満たされるし、ゲームも進行して面白い、という一種の麻薬的な「時間つぶし革命」を実現してしまった
主にソーシャルゲームの話。ゲーミフィケーションは「なんでもないこと」、あるいは「悪いこと」にも人々を熱中させられる技術でもあるため、使い方を考えなくてはいけない、ということではないかと思います。
今は目の前にあるこの15分を消費したい、大きな有料の感動より、無料で手軽に遊びたい、という欲求やニーズの方が勝っちゃってるからこそ、ソーシャルゲーム人口も上がっている
WiiU や PS4 といった据え置きの大型タイトルから、「アプリ」へ人が流れている傾向について。大型ゲームが好きな人間としては寂しい一方、社会人になってからは確かに大型タイトルを遊ぶ気力が中々起きず、こうした感覚がわかってしまうのも事実です。振り返った時により大きなものが残るのは、有料かどうかはさておき「大きな感動」の方だと思うので、なんとか気力をだして「暇つぶし」に溺れないようにしたいものです。
明らかにこの種のソーシャルゲームは「作品」よりも「社会」の側に重心が置かれている。だから「ゲームとしてつまらない」という批判はあまり意味がない。これらの企画の目的はコミュニティ形成であって、ゲームはそのための手段でしかないし、ユーザーが享受している快楽もコミュニティサイトを通じた友人間の交流のそれが占める割合が大きい。(中略)『ポケモン』や『モンハン』ではゲームという作品の快楽の追求が目的で、社会=コミュニケーションはその快楽を支える装置=手段えしかない。しかし、ソーシャルゲームではこの関係が逆転している。社会が目的で作品が手段になっている。
ソーシャルゲームにおけるコミュニケーションと、『ポケモン』や『モンハン』といったゲームにおけるコミュニケーションの役割の違いについて。
コンピュータゲームの歴史とは、手段と目的のあいだを撹乱するシステムを洗練する歴史だったはず。どんなゲームも、少しバランスが狂うと「ゲームのためのゲーム」に、つまり「作業ゲー」になってしまう。
RPG で言えば、最終目的は「ストーリーをクリアする」で、そのための手段である「敵を倒す」、「ダンジョンを攻略する」、「アイテムを集める」、「レベルを上げる」という要素それぞれに面白みを持たせようとしてきた、という感じでしょうか?
今まではクリエイティブの神様というのはクリエイターという人たちの中に生息していて、その神をファンが崇拝していた。それが今では「僕も育ててるんだ」というふうに主体がパッシブな三人称から、アクティブな一人称に変わり始めている。
AKB や初音ミクの流行、参加するエンターテイメントへの移行について。『日本代表』のような本当に限られたトップレベルの個人・団体以外は見るエンターテイメントの対象としての価値を失いつつあるのかもしれません。
いわゆるエリート層の人って、自分が置かれた環境に勝手にゲーム的な構造を読み込んで、自分がプレイヤーとして同行動すべきか判断できる人の比率が多い印象を受けます。
確かに「ゲーム的な構造」が与える「何をすればどういう結果が得られるか」という因果関係を自分で紐解く事ができる人はエリート層になりやすい気がします。
「誰もが情報発信できる社会」が定着したとき、その結果何が起こりつつあるかというと、様々な情報や言葉が、有象無象の匿名の言葉と、ひと握りの固有名の言葉に分かれ始めているということです。
匿名の言葉は、一般人の書き込み、固有名の言葉は有名人の書き込み。一般人の書き込みはその内容に重きが置かれ、有名人の書き込みは内容よりもその人が言った、ということに重きが置かれていて、この中間にあったマスメディアは居場所を失っているという話。



最後に、水口哲也さんは、人の好奇心、探究心をとても大事にされていると思いました。そういうことに、ゲーミフィケーションの考え方が活かされると良いですね。

2014年9月6日土曜日

『嫌われる勇気』 感想とレビュー


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嫌われる勇気』を読みました。インパクト重視と思われるタイトルにあまり良い印象はなかったのですが、かなり売れているようなので食わず嫌いせずに読んでおこうかと。

アドラー心理学というものに触れるのは初めてで、色々と新鮮でした。この本自体は、哲人が青年の説得に使用する例や、それによって青年が説得されていく様子などに違和感を感じてしまいそれほど面白いとは思わなかったのですが、アドラー心理学について自体はまた何かの機会に別の本でも読んでみようと思います。

『目的論』という考え方

未来を変えられる、と考えるための思考方法としては有用だと思うのですが、納得はできない、という印象です。読み終わった後でも、現在の状態の原因は過去にある、トラウマは存在する、という考えは変わりません。その上で、過去の事を言っていても仕方ないから何とかして乗り越えようよう、というスタンスの方がしっくりきます。

まぁ『目的論』についてあまりよく理解できていないので、別の本を読んだ時にでもまた考えてみようと思います。

以下、この本の内容のメモを少し。

アドラー心理学が掲げる目標

  • 行動面の目標
    • 自立すること
    • 社会と調和して暮らせること
  • 心理面の目標
    • わたしには能力がある、という意識
    • 人々はわたしの仲間である、という意識

人生のタスク

  • 仕事のタスク
  • 交友のタスク
  • 愛のタスク

承認欲求の否定と課題の分離

よく言われていることで、アドラー心理学に限った話ではないと思いますが。
あなたにできるのは「自分の信じる最善の道を選ぶこと」、それだけです。一方で、その選択について他者がどのような評価を下すのか。これは他者の課題であって、あなたにはどうにもできない話です。
他者から嫌われることを恐れず、承認されないかもしれないというコストを支払わないかぎり、自分の生き方を貫くことはできない。つまり自由になれないのです。
「他者からどう見られているか」ばかりを気にかける生き方こそ、「わたし」にしか関心を持たない自己中心的なライフスタイルなのです。

2014年8月21日木曜日

本 : 『Show Your Work!』 感想とレビュー


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Show Your Work!: 10 Ways to Share Your Creativity and Get Discovered

Steal Like an Artist』 が良かったので、同作者の本を読んでみました。セルフプロモーションの代替方法(?)として、自分と自分の作品を世の中に知ってもらうためにはどうしていけば良いか、がテーマとなっています。『Steal Like an Artist』 が他の人から影響を受けよう、という本なのに対して、この本は他の人に影響を与えるには、という立ち位置で、対象読者は、基本的に何か創作活動、モノ作りに関わっている人。

ここでの work は作品だけでなく、その制作のプロセスも含めており、
以下のような内容を肉付けして語っている感じです。

Show your work するべき理由

  • 自分自身と自分の作品に触れてもらえる機会が増える
    • 興味を持ってもらえるかもしれない
    • フィードバックや教えを貰えるかもしれない
  • 誰かの参考になるかもしれない
    • 初心者の試行錯誤の記録などは、同じ悩みを持つ初心者にとってエキスパートの教えよりも役に立つことがある

Show your work する際の注意

  • 自分の名前をクリーンに保つ
    • スパムのような share は行わない
    • 誰かに不快感を抱かせる可能性のあるものの share 範囲には注意する
  • 批判を気にしすぎない

正直なところ『Steal like an artist』ほどはピンと来ませんでしたが、それでも良い本だったと思います。

以下、ハイライトした箇所の一部と自分のコメントです。
Be so good they can't ignore you
冒頭で、コメディアン Steve Margin のこの言葉を引用しつつ、もしあなたが本当に良い作品を作ることに集中していれば、いずれ他の人があなたのところにくるでしょう、しかし、そのためにはあなた(とあなたの作品)は見つけられる状態にある必要があります、と続きます。兎にも角にも、良いものを作るということが前提になるということです。(最初から優れた作品を作れる必要はなく、上達のためのプロセスの一環として、Share your work しよう、という流れになります。)
Mediocrity is, however, still on the spectrum (of creative work); you can move from mediocre to good in increments. The real gap is between doing nothing and doing something. 
凡庸も創作であり、本当の境目は何かするか、何もしないか、ということです。
まったくもってその通りですね。
If you give away everything you have, you are left with nothing. This forces you to look, to be aware, to replenish.... Somehow the more you give away, the more comes back to you.
Share すると次に Share するものを探すようになる、という好循環が発生するという感じでしょうか。
Work is never finished, only abandoned." - Paul Valery
『終わりーなどーはないーさ、終わらーせるーことはでーきるけどー』みたいな。

2014年8月12日火曜日

本 : 『The Art of Failure』 感想とレビュー : なぜゲームをプレイするのか


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The Art of Failure: An Essay on the Pain of Playing Video Games
人はなぜゲームをするのか、というテーマについて、ゲームと現実の違い、失敗がもたらすもの、悲劇を題材にした小説・映画とゲームにおける悲劇の違いに触れながら、筆者の考えが書かれています。少し小難しく理屈っぽいのですが、最後まで興味深く読めました。

気になった内容を引用しながら、考えたことをメモしておきます。

Apparently, games give us a license to engage in conflicts, to prevent others from achieving their goals. When playing a game, a number of actions that would regularly be awkward and rude are recast as pleasant and sociable.
(どうやら、ゲームは、闘争に興じ、他人が目的を達成することを妨害する許可を与えるようだ。ゲームをプレイしている時、普段なら奇妙で失礼と思われる数々の行動が、愉快で社会的とみなされる。)
ある活動がゲームかゲームでないかを定義づける指標の一つと言えそうです。対戦型のゲームはもちろんのこと、シングルプレイのゲームでは、ゲームデザイナは、プレイヤーにある程度の失敗を経験させようとゲームをデザインします。逆に言えば、目的を達成することを妨害するものが何もなければ、それはゲームとは言えないのかもしれません(少なくとも面白くはないでしょう。少し失敗した後クリアしたプレイヤーの方が、全く失敗せずにクリアしたプレイヤーよりもゲームを高く評価した、という研究結果もあるそうです)。「そこに山があるから」的な考え方で、「そこに障害があるから」ゲームをプレイしクリアしたいと思うというのは、優越感を求める本能のように思います。

To play a game is to make an emotional gamble: we invest time and self-esteem in the hope that it will pay off.
(ゲームをプレイすることは、時間と自尊心を投資し、感情を賭けたギャンブルをすることです。)
「自分にはこれができるはず」と考えてプレイし、実際に達成することで自信を得る(失敗すれば自信を失う)、という端的で分かりやすい考え方だと思います。スマホを中心とした誰でもできるゲームの普及、スキルではなく費やした時間に対してリターンを提供する傾向は、投資のリスクを極力低くする方向に進んでいる結果とも言えます。

Where novels and movies concern the personal limitations and self-doubt of others, games have to do with our actual limitation and self-doubts.
(小説や映画が他人の限界や自己不信を扱っているのに対して、ゲームは私たち自身の限界や自己不信に関わっています。)
小説や映画などの、自分のコントロールが全く及ばない媒体とは違い、ゲームでは自分のコントロールが及ぶからこそ、その中でも失敗や悲劇がより自分自身と密接に感じられるということです。RPG のような、最終的にゲームのストーリーにプレイヤーの行動が縛られている物語だとしても、没入感の違いは体験の質を異なるものにしていると思います。最後に挙げる「主人公が死ぬゲーム」にも関係する洞察です。

Self-Defeating behavior is well-tested - but generally unproductive - way to avoid being measured by a task.
(自滅的な行動は、良く知られている - けれども生産的ではない - タスクによって測定されることを避ける方法です)
失敗の原因が能力の不足に起因すると思いたくないがために、テスト前にわざと勉強しなかったり、前日に飲み会に参加したりする、という行動は広くに見られるようです。「きちんと準備すれば、本気を出せば」という可能性を自分に残しておきたい、という心理ですね。

ただ、ゲームでは「自滅的な行動」を追求することが游びの幅を広げることがあるので、必ずしも悪いことではないとされています。例えば、マリオで極力コインと採らず、敵を倒さずクリアすることを目指す、というのも、ゲーム上で用意された「スコア」という指標からは低い評価となりますが、遊びとしては面白いものになるのかもしれません。この辺りも、ゲームと非ゲームの分かれ目を考える参考になりそうです。

Three Kinds of Fairness, Three Paths to Success : Skill, Chance, Labor
節のタイトルだけの切り抜きですが、ここではゲームは何に対して報酬を与えるのか、という話で、以下の三つの要素を上げています。

スキル : プレイヤー自身の操作・思考能力
チャンス : 運(サイコロの出目など)
労力 : 費やした時間(ゲーム内キャラクターのレベル上げなど)

それぞれ同じジャンルでも大分違うとは思いますが、アクションゲームは「スキル >> チャンス > 労力」、RPG は「労力 >= スキル >= チャンス」、多くのコレクション系のスマホゲームは「労力 >> チャンス >> スキル」といった感じでしょうか。ゲームは自尊心を賭けたギャンブルだ、という話を上の方で上げましたが、スキルに重きを置いたゲームほど、リスクは高いと言えるでしょう。労力に重きを置いたゲームは「実際の能力よりも、ただ時間を費やすことに価値があるという価値観は間違っている」といった観点から批判の対象となることがしばしばありますが、個人的にはゲームが何に報酬を与えようとどうでも良い気がします。システムに納得できないゲームはプレイしなければ良いだけです。

主人公(操作キャラクター)が死ぬことでクリアとなるゲーム
短い引用を持ってくることが難しかったものの、興味深いテーマなので日本語で大枠の題材だけ書き留めていおきます。

主人公が死ぬ小説・映画は多々ありますが、主人公が死ぬゲームというのはあまり多くありません。特に、主人公が苦しみ、絶望して死ぬというはなかなかないでしょう。プレイヤーと主人の結びつきが他の媒体と比べて強すぎるために、主人公の絶望をプレイヤーにとってのエンターテインメントとして昇華できないようです。VR の発達と合わせて、これからいろいろな表現の探求が進むのではないでしょうか?楽しみです。


2014年8月11日月曜日

Kindle 洋書オススメまとめ(とりあえず11冊):2015/1/2 追記


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自分用の「再読したいリスト」を兼ねて、Kindle で読める、広くおすすめできそうな洋書のまとめを。

とりあえずトップ10くらいを、という気持ちでオールジャンルで10冊選びました。→ 2015/1/2 1冊追加で 11冊に。

ジャンル混ぜこぜなので、掲載順に特に意味はありません。
英語の難しさ、のようなものも特に考慮していませんが、読みにくかったと感じた本は挙げていないのである程度洋書を読んだ事がある方なら大丈夫かと。

今回あげたオススメリストに入っている作品はありませんでしたが、洋書含む Kindle オーナーライブラリのオススメはこちら



Thinking, Fast and Slow
ノーベル経済学賞を受賞したカーネマン博士の著書。行動経済学などに興味がある人にはもちろんおすすめですが、この本は、経済学というよりも心理学の本なので万人向け。人間の直感的選択に、どのようなバイアスがかかっているか、直感が思考にどのような影響を与えているかなどが、身近な例を豊富に挙げて説明されています。読んだことがない人は是非。安いのも魅力的です。唯一の難点は、かなり長いので読みきるにはなかなか時間がかかることでしょうか。



Leadership and Self-Deception: Getting out of the Box
自分の小さな「箱」から脱出する方法の原著。自分が自己啓発系の本で一冊一番のおすすめを選ぶとすればこれですかね。内容が良いことはもちろん、文章も会話形式でとても読みやすいです。



Steal Like an Artist: 10 Things Nobody Told You About Being Creative
良いものを見つけて、どんどん真似ていこう、という本です。適度な長さと、説教っぽくない軽快で前向きな文章が、繰り返し読み返すのにとても良いです。生き方とかそういう面でも参考になるので、創作活動をしない人にもオススメ。ブログに書いたページはこちら


Moonwalking with Einstein: The Art and Science of Remembering Everything
暗記の世界大会を題材に、暗記術や記憶障害に触れながら人間の記憶のメカニズムなどを解説している本です。著者自身のアメリカの暗記大会への挑戦(そして優勝!)への物語という側面の面白さと、脳と記憶のメカニズムを解説した科学系の読み物としての面白さを兼ね備えています。著者が習得した(もしくはしようとした)暗記法についてももちろん書かれているので、興味があれば実際に練習してみるとより楽しめるのではないかと思います。私は Major System という記憶法を覚えてみましたが、中々使える機会はあります(覚えるためにAndroidアプリ作りました)。(ちなみに邦訳は『ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由』。Ther Art and Science of... と比べると、なんとも言えない感じですね。Kindle 版はありませんでした。)



Moneyball: The Art of Winning an Unfair Game
野球への興味はさほど持っておらず、データの活用という方面への興味で読んだのですが、とても面白かったです。直感をデータで補完する、というのは野球のスカウト、スポーツに限る話ではありませんから、ビジネス系の読み物としてオススメです。よくは知らないのですが、映画化もされたとか。


Spark!: How exercise will improve the performance of your brain
運動がどのように脳の発達、老化防止にどのように影響を与えるか、という本です。運動のモチベーションアップにおすすめ。医学的な用語は多いものの、文法的な難しさはあまり感じませんでした。こういう単語が難しい本では Kindle の辞書の便利さが際立ちますね。日本語版(脳を鍛えるには運動しかない!最新科学でわかった脳細胞の増やし方)もかなり好評のようですが、原著であれば同じ内容が250円以下で買えてしまうので原著がお買い得。ブログに書いたページはこちら



More Than Good Intentions: Improving the Ways the World's Poor Borrow, Save, Farm, Learn, and Stay Healthy
「良いことをしたい、しよう」という意志を、どうすれば効果的に結果に結び付けられるか、という研究・調査を題材にした本です。貧困、教育、購買、結婚などを具体的なテーマとして、実際に行われた政策やその効果を例にだしながらどのような方法に効果があったか、などがまとめられています。一昔前に話題になったマイクロファンディング系の話もあります。個人的な目標を達成するための作戦を練るにも参考になるでしょう。



The Willpower Instinct: How Self-Control Works, Why It Matters, and What You Can Doto Get More of It
個人的な目標を達成するための心理学を学ぶ、という点では上の本よりもこちらの本の方が有名でしょうか。挙げられるエピソードも個人的な内容が多く、実践的なアドバイスが多いです。『意志力』が限りあるリソースであり、どのような状況下で減るか、回復するにはどうすれば良いのか、という知識を身につけておくことは、時折意識できれば日常生活に有用なのではと思います。
(ところで、この記事を書いている時に初めて、『スタンフォードの自分を変える教室』がこの本の訳書である事を知りました。全く別の本だと思っていましたが、邦訳のタイトルというのは中々わかりにくいですね。)



Twisted: The Collected Stories of Jeffery Deaver
「リンカーン・ライム」シリーズで有名なジェフリー・ディーヴァーのミステリー系短篇集。英語で小説というのはビジネス書や How-to 本と比較すると読解の難易度が上がるので、短篇集くらいが個人的にはちょうどよいです。そして、この短篇集の作品はどれもあっと驚くどんでん返しがあり、とてもクオリティが高いと思います。「リンカーン・ライム」シリーズのようなグロい感じの事件もないので、ミステリー好きの方には是非。続編『More Twisted: Collected Stories, Vol. II: 2』も面白いですが、個人的には一作目のこちらの方がお気に入りでおすすめ。『Triangle』がマイベストです。



The Art of Game Design: A book of lenses
ゲームデザインに関する本です。面白いゲームを作るためのチェックリストのような内容で、ゲームの内容について項目から、開発・ビジネスに関する項目まで包括的にカバーされており、ゲーム制作やゲーム業界に興味を持っている人なら学べることはとても多いと思います。また、何かの活動について『ゲーミフィケーション』を考える場合にも参考になると思うので、ゲームそのものを作るわけではない人にもオススメです。



Being Mortal: Medicine and What Matters in the End
紹介記事はこちら。医師である著者が、患者や自分の父親が死にいたるまでの経験をもとに、医療政策や個人が親や自分の死についてどう向き合うべきか、を語った本です。話題が話題だけに軽い気持ちで読めるものではないのですが、読む価値のある本だったと思います。



以上です。今回の11冊に入らなかったオススメの洋書は、またの機会に書こうと思います。
洋書含む Kindle オーナーライブラリのオススメはこちら