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2015年1月2日金曜日

『一九八四年』 感想とレビュー


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新年一冊目は『一九八四年』を読みました。

以前、原著である 1984 を読もうとして 5% くらいで挫折してしまったことがあるのですが、今回読んだ訳書(新訳版)はとても読みやすかったです。そして、その内容は想像していたよりもずっと面白く、不朽の名作と呼ばれるのも納得の作品でした。

絶対的な支配力を誇る「党」に反する思考を持った主人公の物語として、娯楽小説として惹き込まれながら、その中で語られる支配を恒久化させるための社会構造に対する洞察、思考を抑制するために言語を削ぎ落とすという政策の説得力など、著者の凄まじい知性を感じました。自分はその内容の半分も理解できていないのでしょうが、それでも、この本に書かれた考え方に触れることはとても刺激的でした。

2015年が始まってまだ2日目ですが、この年読んだ小説の中で最高の作品になるかもしれない、と思うほどです。それだけの評価を持っていた作品なので当然なのかもしれませんが、それほど衝撃的で充実した読書体験となりました。



少し昔の作品で、これほど面白かった本は『春にして君を離れ』以来です。こちらの作品は人間に対する洞察が非常に優れていると思います。

2014年12月22日月曜日

『虚像の道化師』、『禁断の魔術』 感想とレビュー


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ガリレオ短編シリーズは息抜きのための読書として最適ですね。
息抜き以上でもそれ以下でもない感じは否めませんが。。。

忘備録として、全話のネタのメモ。感想は特に無いです。


虚像の道化師


幻惑す(まどわす)

宗教とマイクロ波。

心聴る(きこえる)

脳内音声装置。指向性スピーカーと同系統で技術的にそんなのもある、といったところ。

偽装す(よそおう)

ロッキングチェア、銃、心中。特殊な技術のネタではない。

演技る(えんじる)

凶器の入れ替え、犯人を演じる。これも特殊な技術のネタではない。


禁断の魔術


透視す(みとおす)

赤外線。

曲球る(まがる)

スポーツ科学。犯罪自体と技術ネタは無関係。

念波る(おくる)

テレパシー。結果的には、予言は数を撃てば当たる系。

猛射つ(うつ)

レールガン。

2014年12月19日金曜日

『虚構推理 鋼人七瀬』 感想とレビュー


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虚構推理 鋼人七瀬を読みました。著者は、『絶園のテンペスト』(感想記事)や『スパイラル』といった漫画の原作、小説『名探偵に薔薇を』(感想記事。オススメ作品です。)の著者の城平京です。

妖怪と話す能力を持った隻眼隻脚の女性(男性の現彼女)、死んだ時にある一定の未来を選択できる不死身の男性、普通の警察官の女性(男性の元彼女)、という登場人物を軸に、鋼人七瀬という妖怪を消滅されるために「大衆に受け入れられる嘘の推理を生み出す」物語が語られます。

うーん。。。全体的な語り口調、テーマは面白いのですが、どことなく消化不良感があります。

「人は信じたいものを信じる」、「証拠よりも物語性」などをキーワードに大衆に対して推理を展開していくのですが、読者視点で見ると「大衆はこれを受け入れるのか?」と冷めた視点で観察できてしまう事、大衆を導くことを可能にする不死身の男性の能力(死んで復活する際に、直近の、可能性のある未来を決定できるので、ある程度説得力があり、大衆が受け入れる可能性がありそうな推理を展開できれば良いという条件になっている)の効果範囲が曖昧である事あたりが原因かもしれません。

推理に推理を重ねて伏線とする等の工夫はあって、ただのご都合主義ではないのですが、一つの真実をスパッっと提示するような物語の方がスッキリして好みではあります。

今回この本は図書館で借りて読むことができたのですが、借りて読めるなら読んでみると良いかも、くらいのオススメ感です。

2014年12月14日日曜日

『夜の国のクーパー』 感想とレビュー


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夜の国のクーパー読了。『ガソリン生活』は車が語り手でしたが、こちらは主な語り手が猫。御伽話風という点で『オーデュボンの祈り』に近い印象を受けました。軽妙な台詞回しは控えめで、真面目な小説という感じです。

キーワードは「帰る」、「方針の変換」、「戦争」、「話し合い」、「上の立場と下の立場(猫と鼠、国と国)」、「やりたくないことは他人にさせる」など。

どちらかと言えばもう少し明るい雰囲気の小説の方が好きですが、これはこれで面白く読めました。猫達の動作の描写も臨場感(?)とかわいげがあって楽しかったです。

2014年12月11日木曜日

『ガソリン生活』 感想とレビュー


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ガソリン生活』読了。メインの語り手が車という異色な作品でしたが、荒唐無稽でほんわかした感じが良いですね。系統としては『陽気なギャング』シリーズを近い雰囲気を感じました。単純だけど人のよい兄、年不相応に頭の立つ弟、一家を支える母親、隣に住む校長先生など登場人物、家族が乗る緑のデミオ、校長先生のカローラなどの車といった、主要なキャラクターに裏がなく気楽に読めて好きです。

2014年11月15日土曜日

『幻惑の死と使途』 感想 : 「名前」のための殺人の話


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幻惑の死と使途』読了。Kindle Voyage を買ったついでに、何か読むものを、と思って買った小説でした。森博嗣作品は『すべてがFになる』と『冷たい密室と博士たち』しか読んでませんが、この3つの中では一番良かったです。手品とか好きですし、トリック・動機も納得のいく方でした。

それから、全体的な「名前」というテーマと、犀川教授の
人はアウトプットするときだけ、個たる「人」であり、それ以外は、「人々」でしかない
という言葉がとても印象的でした。

心に残る一言が一つでもあると、単純な娯楽としての読書以上にその小説は読んでよかった、と思えるので、この本もまた読んでよかったです。

2014年11月3日月曜日

『アイネクライネナハトムジーク』 感想


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今日は移動時間があったので アイネクライネナハトムジーク を購入して読みました。

伊坂幸太郎の、この手の時間軸と登場人物が不規則に入り組んで短編が繋がるタイプの小説、たびたび「誰だっけ?」となって読んでて疲れました。Kindle だとパラパラっと前に戻って確認するのも面倒ですし、今回は特に登場人物が多くて。。。

あとがきに
僕の書く本にしては珍しく、泥棒や強盗、殺し屋や超能力、恐ろしい犯人、特徴的な人物や奇妙な設定、そういったものがほとんど出てこない本になりました。ですから、普段の僕の本に抵抗がある人にも楽しんでもらいやすくなったのでは、そうであってほしい、と期待しています。
とあったのですが、僕はどちらかといえばそういう本(『陽気なギャング』とか『マリアビートル』とか)は大好きなので、今回の本はちょっと物足りない感じも。

まぁ「伊坂作品に期待していたものとは少し違った」というだけで、つまらなかった、読むのをやめようかと思った、というわけではないです。良い時間の使い方ができました。移動中は新しい本を読むのが一番ですね。

2014年6月28日土曜日

『名探偵に薔薇を』 感想 : 古さを感じさせない傑作探偵物


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絶園のテンペスト』と『スパイラル ~推理の絆~』の原作者である城平京さんの小説です。
両漫画が好きだったので『名探偵に薔薇を』がKindle版で販売されているのを見て買って読んでみました。

結構昔の作品(1998年発表)だったのですが、古臭さは全く感じず、読みやすくて面白かったです。
完全犯罪を可能にする架空の毒「小人地獄」がミステリーの軸だったのが、古さを感じさせないという点で良かったのかもしれません。

登場人物が少なく、舞台がコンパクトにまとまっているのも良いですね。余計な方向に話が逸れることがなく、グッと締まっている感じがします。

「Howdunit」(どうやったか)、「Whydunit」(どうしてやったか)もののミステリーとして面白い事に加えて、その事件を軸に描いた名探偵としての在り方、その悲劇もまた読み応えのある物語でした。

ミステリーの類が好きな人ならきっと楽しめるでしょう。
今までそれなりの量の小説を読んできましたが、その中でもかなりのお気に入りとなりました。

また、こんな作品と出会えますように。