以下、内容の簡単なまとめと感想です。
Xerox がコピー機の開発に挑戦し、財政難・技術的課題に苦しみながらも最終的には製品開発に成功して市場を席巻するまでと、その後大企業として行った企業活動などについて、40ページ程でまとめられています。
面白かったのは、著作権侵害の急増、マスターデータから必要に応じて必要なページのみを印刷する図書館が生まれるのではという考え、出版業界における全員が読者であるとともに著者になれる時代の到来への恐怖、などといった、現代のインターネットや電子本などにそのまま当てはめられるような話題があったところです。当時の Xerox のコピー機のインパクトの大きさを示しているような気がしますね。
ちなみに、著作権侵害については、多くのコピー機メーカーが、今まで認められていた手書きによるコピーの発展形にすぎないという立場をとっていたのに対し、Xerox は無断コピーは禁止するべきという立場を取っていたそうです。Xerox が、出版や教育関係の企業を買収していたことも無関係ではないと思いますが、そもそもそういう企業を買収していて、コピー機が売れれば良い、という思想に囚われていないということが他の企業と異なる点なのかもしれません。
また、Xerox が、急激な発展を遂げた後、利益の多くの教育や慈善活動に寄付していた、という点も興味深いです。国連の報道活動への出資には多くの反対意見(アメリカでは国連に対して不信感を持っている方々もおり、ある企業が反対活動を扇動していました)が、結局は正しい判断だった、と振り返られています。
最後に、その辺りについての当事者のコメントを一部引用。
The corporation cannot refuse to take a stand on public issues of major concern.
(...) world coöperation is our business, because without it there might be no world and there fore no business.
You can’t just be bland, or you throw away your influence. But you can’t take a stand on every major issue, either.
可能性を信じ苦境に耐えて成功した一方で、成功の要因については偶然が大きい(セレニウムの使用がキーとなったが、セレニウムが良いとわかったのは実験的な成果で理論的な背景があるわけではない)、という、成功のための必要条件(十分条件ではない)と成功後の理想的な姿勢を示した一章なのでないかと思います。
無料なので、興味があれば読んでみるとよいでしょう。
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