The Functional Art: An introduction to information graphics and visualization を読みました。インフォグラフィックスを広い範囲で解説している本で、インフォグラフィックスのそもそもの目的(示したい情報を明確にする事であって、単純化することではないし、もちろん装飾することでもない)や、どういう時にどういう図を使うべきか(値の比較をしたいなら、ほとんど常に棒グラフが優れている。円の面積や色の濃さによる表現は比較には向かない)などから、人がどのように視覚を認識しているかなどを扱っています。
個人的には 80 点くらい。こういう系統の他の本は特に読んだことがないので、なんとなくの採点です。こういう領域に興味があるのであれば、一読して損はしないと思いますが、あまり興味がなさそうな人に「これ面白いよ、勉強になるよ」と言って薦めるほどではない、という感じです。
Part 1 が、 foundation という事で、インフォグラフィックスとビジュアリゼーションの基礎や考え方の紹介です。もともとこの辺りが知ってみたかったので勉強になりました。結構理屈っぽいので、自分でインフォグラフィックスを作りたい、と思って読む人にとっては少しまどろっこしいかもしれませんが、いろいろ引用されていて、よく考えられて書かれている気がします。
Part 2 の cognition パートの、視覚と脳に関する話は、その辺りの知識がなかったけど興味があった、という人にとっては良いのかもしれません。Part 1 で紹介されている、どういう時にどういう図を使うべきか、どういう図がわかりやすいか、などの裏付けといった意味合いの気もするので、興味がなければ読み飛ばしても問題ない気がします。自分は他の本でこういう話は読んだ事があったので、軽く読み飛ばしました。
Part 3 は practice という事で、著者が扱ったプロジェクトについて。Part 1 の復習といった感じです。
Part 4 はインタビュー。
こうして振り返ると、Part 1 と Part 3 だけ切り出して、コンパクトにしてもう少し値段が手軽になっていればもっと良かったような気がします。Part 2 も Part 4 も価値がないわけではないのですが、削って安くできるならそうして欲しかったです。
3行まとめ
- 伝えたいメッセージからインフォグラフィックスを作る。グラフィックス(見た目)を先行させない
- インフォグラフィックスは情報を単純化するのではなく明確にする
- 見る人の知性を信頼する
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