2015年1月2日金曜日

『一九八四年』 感想とレビュー



新年一冊目は『一九八四年』を読みました。

以前、原著である 1984 を読もうとして 5% くらいで挫折してしまったことがあるのですが、今回読んだ訳書(新訳版)はとても読みやすかったです。そして、その内容は想像していたよりもずっと面白く、不朽の名作と呼ばれるのも納得の作品でした。

絶対的な支配力を誇る「党」に反する思考を持った主人公の物語として、娯楽小説として惹き込まれながら、その中で語られる支配を恒久化させるための社会構造に対する洞察、思考を抑制するために言語を削ぎ落とすという政策の説得力など、著者の凄まじい知性を感じました。自分はその内容の半分も理解できていないのでしょうが、それでも、この本に書かれた考え方に触れることはとても刺激的でした。

2015年が始まってまだ2日目ですが、この年読んだ小説の中で最高の作品になるかもしれない、と思うほどです。それだけの評価を持っていた作品なので当然なのかもしれませんが、それほど衝撃的で充実した読書体験となりました。



少し昔の作品で、これほど面白かった本は『春にして君を離れ』以来です。こちらの作品は人間に対する洞察が非常に優れていると思います。

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