2014年8月2日土曜日

本 : 『脳の中の時間旅行 - なぜ時間はワープするのか』 感想とレビュー


脳の中の時間旅行 : なぜ時間はワープするのか

時間の感じ方や捉え方についての逸話、研究が数多く紹介されていて、とても面白かったです。
結局「なぜ」かはわからないのですが、改めて考えてみると本当に時間って不思議ですね。不思議だなー、というのを考えることが楽しく、そのためのネタがたくさん書かれています。

以下、面白いと思った逸話や考え方について。
  • グアンタナモ収容所では、囚人に不安を感じさせるため、食事、睡眠、尋問の時間を決めず予測できないようにした。
  • 他人に嫌われていると思い込んだ時、時間は長く感じる
  • 自分が未来に進んでいるという考え方も、自分は止まっていて未来が自分の方に来ているという考え方もある
    • 楽しみなイベントに対しては自分が進んでいるように感じ、怖いと感じるイベント(手術など)ではイベントの方が近づいてくると感じる傾向にある
  • 脳は他にやることがなければ、将来について考えるようにプログラムされているらしい
  • 将来はもっと時間がある、という思い込みを人はいつまでも捨てられない
    • 自分の将来を考える時、細部を無視してしまう傾向にある。しかし、他人の将来を考えるときは細部まで考える傾向にある。他人が仕事を終えるのにかかる時間の方が、自分が仕事を終えるのにかかる時間よりも精度高く予測できる
  • ジンバルドの時間思考テスト : Zimbardo Time Perspective Inventory
    • 日本語で論文書いている人もいるみたいなんですが、実際にオンラインでできるものは英語しか見つかりませんでした。61問。結構長いです。
    • 自分は現在思考が弱く将来思考が強いという感じでした。
  • 不安を取り除く方法として、「不安について考える時間」を設けて、その時間以外で感じた不安はその時まで「とっておく」ように自分に言い聞かせる方法がある

注意ゲートモデル

脳の中に絶え間なくパルスを放出しているペースメーカーと、そのパルスが通過するゲートがあり、そのゲートを通過したパルスの数で時間を測っていると考えるモデル。不安を感じているとパルスのスピードが速くなり、一定時間内にゲートを通過したパスルの数が増えるので時間の経過が遅く感じる。忙しい時や、別のことに集中している時は、そちらにリソースが割かれ、パルスのスピードが遅くなることで振り返った時に短い時間しか経過していないように感じる。

イーグルマンの理論

時間の長さの感じ方は神経が必要とするエネルギーによって左右されるという考え方。新しい物事に遭遇すると認識にエネルギーを必要とするため時間が長く感じる(初めて行く場所を散策するときなど)。

SNARC効果

Spacial Numerical Association of Response Code(空間・数字関連応答コード)。
例えば12の月の内、前半の月(1~6月)が表示されたらあるキーを、後半の月(7~12月)が表示されたらあるキーを押す、というタスクを与えた時、前半の月に対応するキーが左側、後半の月に対応するキーが右側にある場合の方が反応が速くなるなど。時間が空間とのマッピングに関連性がある。

ホリデー・パラドックス

「概して、多様で興味深い経験に満ちた時間は速く過ぎるように感じられるが、思い返すと長く感じられる。その逆に、何の経験も含まない時間は過ぎるのが遅いように感じられるが、振り返ってみると長く感じる」



久々に科学系の読み物を読みましたが、当たりでした。次は『脳の中の身体地図―ボディ・マップのおかげで、たいていのことがうまくいくわけ』を読み始めています。

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