2014年12月19日金曜日

『虚構推理 鋼人七瀬』 感想とレビュー



虚構推理 鋼人七瀬を読みました。著者は、『絶園のテンペスト』(感想記事)や『スパイラル』といった漫画の原作、小説『名探偵に薔薇を』(感想記事。オススメ作品です。)の著者の城平京です。

妖怪と話す能力を持った隻眼隻脚の女性(男性の現彼女)、死んだ時にある一定の未来を選択できる不死身の男性、普通の警察官の女性(男性の元彼女)、という登場人物を軸に、鋼人七瀬という妖怪を消滅されるために「大衆に受け入れられる嘘の推理を生み出す」物語が語られます。

うーん。。。全体的な語り口調、テーマは面白いのですが、どことなく消化不良感があります。

「人は信じたいものを信じる」、「証拠よりも物語性」などをキーワードに大衆に対して推理を展開していくのですが、読者視点で見ると「大衆はこれを受け入れるのか?」と冷めた視点で観察できてしまう事、大衆を導くことを可能にする不死身の男性の能力(死んで復活する際に、直近の、可能性のある未来を決定できるので、ある程度説得力があり、大衆が受け入れる可能性がありそうな推理を展開できれば良いという条件になっている)の効果範囲が曖昧である事あたりが原因かもしれません。

推理に推理を重ねて伏線とする等の工夫はあって、ただのご都合主義ではないのですが、一つの真実をスパッっと提示するような物語の方がスッキリして好みではあります。

今回この本は図書館で借りて読むことができたのですが、借りて読めるなら読んでみると良いかも、くらいのオススメ感です。

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